タルキートナでバドワイザーを

群発頭痛により断酒した山好きオジさんが、定年後にアラスカのデナリを登って、祝杯としてアルコールを解禁することを目指す日記。

FTR100K完走記

FTR100が終わった。筋肉痛が心地よい。

なんとか完走出来た。タイムはほぼ25時間。中間地点のA5ドライブインゆのたまで9時間半で行き、後半大きく崩れて15時間半かけて、羊山公園に帰り着いた。

後半タイムは大崩れしているが、本人としては頑張っていたつもりだった。鬼門だったツツジ山周辺も、FTRでは初めて座り込むこともなく歩き通した。考えてみれば、ドライブインゆのたで周りにいた人達が、ほぼ同タイムでゴールしているので、24時間程度で完走する目標のタイムスケジュールは、このくらいなのかも知れない。そういえば、A7長念寺で、「23時間完走目標ですっ!」と言って出発していった若者がいた。彼は思いを果たせただろうか。

 

金曜を午後半休として前日受付をしてきた。日中にリモートワークで、週内提出の見積を作るつもりが出来なかったので、秩父から帰宅した後にPCを開いて仕上げた。そのため、就寝がほぼ午前零時となってしまった。そもそも、FTRに対する姿勢がこの辺に出ている。彩の国に出るために100kmレースを完走しておくだけ。あまり良いことではない。

3時40分まで寝て、4時40分に家を出た。選手用駐車場には6時頃着いた。スタートが7時だから余裕で5時に家を出ればいいと思っていたのだが、ドロップ預かりが6時半までだという。そんなものスタート直前までやってくれてもよさそうなものだ。実際はそうなっていたので、そういう告知にしてもらいたい。

今大会では、目標タイムに合わせてA、B、Cのアルファベットがゼッケン番号の前につけられている。私はCゼッケンで、ゼッケン記号に合わせて整列してウエーブスタートとなるのかと思ったが、なんとなくその順に並んだだけで一斉にスタートした。周囲はほぼCゼッケン。Bがチラホラ。Aの人は見かけない。

まずは羊山公園周辺の林内を走る。ほぼ平らなシングルトラックでストップ渋滞が起きる。タイムは考えていないとはいえ、渋滞は気が滅入る。ウソでもAゼッケンを申告しておけばよかったかな。

横瀬の集落を抜けて、体験農園の辺りから山に入る。この辺は前回出たときと同じコースだ。Çゼッケンの人達は緩い登りトレイルは走らない。誰かが、ボトルネックになって、走れる所を歩いていても追い越さないので、ゆるゆる歩くパックが結成される。ちょっとイラつきながら着いていき、琴平神社まで登る。そこから芦ヶ久保駅にむけて下り、国道に出てA1国際釣場へ。トイレも混んでいたし、水も減っていないのでスルー。ここはRUN塾エイドだったようで、塾長の元気な声が響いていた。

国道沿いに少し進み、左に折れて大野峠に向う。車道から直ぐに山道に入り、植林地の急登。走れる傾斜のところは少ないので、あまりイラつかずに進む。大野峠に出て、刈場坂峠方面に向う。刈場坂峠手前で右に折れ、正丸峠方面へ。正丸峠まで2kmの看板が出てきて、まだ先は長いなと思っていると、コースは正丸峠までは行かずに左折。林道から川沿いのトレイルを辿って正丸駅へ。ここが第2エイドとなっている。ここまでは快調だ。

A2でウインドブレーカーとスカルキャップを脱ぎ、身軽になった。水を補給して食料は取らずに先を急ぐ。

次はA3子ノ権現。距離は5km。登り基調だが、ここを1時間で踏破出来れば、21時間という目標タイムが現実的になってくる。

コースは送電線の鉄塔を通るもので、彩の国で下るコースに近いのかも知れない。A3子ノ権現にはほぼ1時間で着いた。調子は良さそうだが、各所でCゼッケンの人達について行けず、道を譲る事が多かった。悔しいがこれが実力だ。ここはエイド滞在時間を削っていくしかない。「お蕎麦ありますよ~」というエイドスタッフの声を背中に、水だけ補給して次を目指した。

次は下り基調でA4名栗まで7km。以前のFTRで、名栗から子ノ権現に向かっていたコースとは少し違い、かなり名郷側の県道に降りる。途中竹寺を通るが、初めて梵鐘の横を通った。

下り基調だが、細かいアップダウンを繰り返し、段々と脚が削られて行くのがわかった。エイドをスルーして出し抜いた人達には、エイド出発後5分で追い抜かれた。エイドスルー作戦は無意味だな。名栗では少し休んでいこう。

ルートは割とすぐに右側に下りはじめ、県道に下降した。ロードを名栗まで。本コースはロードが多い。その分制限時間が以前より短くなった。ロードは走れという事だろう。ロードの苦手な私には辛い。

途中、転倒したのか足を擦りむいて倒れている女性がいた。周囲を数人の選手が取り囲んで介抱していた。その内の一人が、行ってください、と言うのでお任せして先に進んだ。途中、駆けつけるスタッフすれ違った。早く行ってあげてください。

名栗までほぼ1時間で着いた。まずまずのペースだ。名栗では温かいクリームシチューなど頂いてしっかり休んだ。次はゴンジリ峠を越えて、小沢峠を通りドライブインゆのたに降りる14km。試走(下見)では6時間かかったセクションだ。ゴンジリ峠への登りは、本コース中最も急傾斜だと思う。目標は3時間で踏破すること。この削り取られた脚で、どこまでいけるか。

A4名栗を辞し、ゴンジリ峠への登りに取り付く。人気のハイキングコースなので、降りてくる人多数。道を譲りながら進む。脚はけっこうきている。まだ半分だぜ?大丈夫か?俺。それでも、立ち止まる事なく、急斜面を淡々と登る。ゴンジリ峠直下は、降りてくるハイカーさんと必死に登る選手とでごったがえしていたので、壊れた階段を敢えて通って峠に出た。

ここから小沢峠までは緩やかな山道だったと記憶していたので、脚を休めるべくほぐしJOG的な感覚で行こうと下り始める。途中、木材搬出用道路の支障雑木が、コースに引っかかる程度に伐倒されていて、先日ここで対面した青梅の林業家さんの嫌がらせかと思った。道は緩やかで、雑木林のところは葉が落ちて明るく、とても気持ちよかった。ゴンジリ峠までの苦難に対するご褒美のようなトレイルだ。

小沢峠から先は一変して厳しくなる。急登と急降下の繰り返しが続く。小さなお社があって、左にヘアピンカーブで曲がるところまで来ればあとは緩い下りの道。なんとなく、この辺はダウンロードしたGPSデータと外れていたような気がする。住宅街に出て、川を渡って県道を右にすぐでA5ドライブインゆのたに到着。ようやくほぼ半分来た。

名栗〜ゆのた間は3時間10分で来れた。タイムチャートではA5ゆのたは17時に設定してあった。やや先行しているのでたっぷり休む。ドロップを回収し、シャツを着替えて、防寒着をリュックに収める。ドロップに入れてあった焼きそばパンを食べて塩分とカロリーを補給。手持ちの補給食は手製のジェルとニミ羊羹だが、ここまで羊羹には手を付けていないので大半をドロップに戻した。その代わりカフェインジェルとVespaを持った。

そうしている間に身体が冷えて、すごく寒くなってしまったので、ウインドブレーカーとスカルキャップをかぶって出発した。最後は慌てて出たので、もう暗いのにランプを出していなかった。歩きだしてすぐに立ち止まってランプを出す。山道の入口まで来るともう暑くなっていて、ウインドブレーカーとスカルキャップも脱いだ。

A6子ノ権現までの道は、今回初めて辿る道。途中にあるピーク「ノボット」は、漢字だと登戸で小田急線だが、カタカナで「ノボット」と言われると、なぜだかロマンを感じてしまう。「ノボット」には割とあっさり着いたが、子ノ権現はなかなか遠かった。この区間は距離が10kmで、登り基調だが、2時間で踏破したいと考えていた。暗闇の中、細かいアップダウンを繰り返す。この区間の後半は、以前のFTRで名栗から子ノ権現に向かったルートのようだった。急傾斜の多い植林地から、開けた伐採地を通れば、そろそろ関東ふれあいの道に合流し、子ノ権現も近いはずだ。2時間進んでも子ノ権現には着かず、2時間半ほどかかった。休憩時間も考慮すると、タイムチャートから遅れ始めた。

A6子ノ権現では、昼に取らなかったおうどんを頂いた。リュックの中のマイカップを出すのが面倒なので、そのおうどん用カップで飲み物も頂いた。

 

このエイドで、トレイルサーチのURLを見つけ、奥さんの動向を探ると、名栗を出てゆのたに向かっていた。まだ故障中なのに、無理をしすぎなければいいのだが。

 

そんな事をしていると再び寒くなり、ウインドブレーカーとスカルキャップを引っ張り出して出発した。次のA7長念寺までは11km。下り基調なので2時間で行きたいが、悪名高き飯能アルプスだ。おそらく、苦労するだろう。

下り始めてすぐに再び暑くなり、防寒装備を解いた。ここは前坂の手前に岩場があり、死亡事故のあった次の大会では、地元の山岳会の長老たちが、上下で見守ってくれてたっけ。今年はほぼみんな夜間通過だし、どうするのかと思ったら、手前のピークにスタッフがいて声がけをしていた。通り過ぎざまに、背中から「265番通過!」とコールしてくれた。え?そんなに速いの?300番代だと思っていたので嬉しかった。

舗装から前坂の山道に入ると、登山地図では破線ではなくなるので道は少し歩き易くなるはずだが、飯能アルプスはここからが本番で、際限なく続く、チマチマした登り下りが始まる。大高山まではあっさり着いたような気がしたが、天覚山がなかなかやって来ない。

次がそうか?次が天覚山か?という登りをいくつ越えたか。ようやく天覚山のピークを踏み、東峠への下りに入る。顕著な尾根から、沢状に入ると東峠に到着。コース図から、ここからは車道を下るのかと思ったら先にスタッフがいてトレイルに誘導された。かつて東吾野エイドがあった場所を通って住宅街へ。国道に出ると右折してロード。このロードは長かった。1マイルあったらしい。途中右側にファミマがあり、寄ってもいいのかなと思っていたが、その辺りにスタッフが立っていので多分ダメなんだろう。

A7長念寺までは3時間かかった。ジリ貧のレベルではなく、どんどんタイムチャートから遅れていく。頑張っているつもりなんだけどな。

次の、A8高山不動までの区間が、間違いなく本レースの核心部だ。ユガテに向かって登り、グリーンラインに乗ったら、車道脇のチマチマした登り下りを繰り返す。そのまま行けばいいところを、わざわざ八徳に降りて、高山不動に登り返す。距離は13km。この脚ではどんだけかかるだろうか。
ユガテと国道を結ぶ登山道はいくつかあるが、武蔵横手側から登るので、北向地蔵からユガテに至るトラバース道に出てからユガテに向かうルート設定になっている。ユガテが遠かった。登っても登っても着かない。ユガテまでは3kmくらい。1時間半くらいかかった。時速2kmってマジか?

ユガテ着いて、誰も聞いていないが「You've got it!」と叫ぶ。このあと、諏訪神社で右のタイヤを積んだ土留に向かって「I‘m tired!」と叫ぶのも自分なりのならわしだが、諏訪神社ではすぐ後に人がいたので、心の叫びに抑えた。

さて、ユガテを過ぎて、エビガ坂から顔振峠まで、ここも3.5kmしかないが、いつも1時間以上かかっている。今回もそれくらいか。途中で急激に力が抜けてきたので、道端に座り込んでカフェインジェル2本とVespa、羊羹を1本食べた。これで少しスッキリしリスタート。顔振峠の車道は歩いて通過し、八徳へのトレイルに入ると頑張って走った。八徳からの登り返しは得意だという自負があった。第1回大会で、ゾンビ化した他の選手たちをゴボウ抜きしたからだ。その後ツツジ山の登りで力尽きたのだが。

登り返しが始まった。序盤で1人に抜かれ、1人追い抜き、どちらも徐々に離れていく。まずまずかな。しかしなかなか上に着かない。今回少しトレイル延長した?と思ったくらいだった。

ようやく尾根に出て傾斜が緩くなった。先行していた速い人も、力尽きたのか高山不動の階段下には同時に着いた。しかし強い人は違う。彼は二足歩行で、こっちは手も使って階段を登った。

A8高山不動までは4時間かかった。もう2時半だ。

高山不動エイドは高所にあるのにカウンター形式だった。天気が穏やかで、曇ったせいで冷え込みも少ないからいいが、そうでなければ悲惨だろう。一つだけ置いてあったストーブの前から離れず、身体が冷える前に出発した。

最終エイド県民の森までは10km。過去3回とも途中で動けなくなった、私にとっては鬼門だ。どんくらいかかるかな。

まずは関八州見晴台に登る。ここに夜に来るのは6回目。FTRで3回、彩の国で1回、その前に、しし座流星群を見に来たことがある。そのいずれの会より夜景が素晴らしかった。まあ、流星群の時は流れ星が素晴らしかったのだが。

夜景を背に先を急ぐ。先ほど階段を一緒に登った人が先行していたが、腸脛靭帯でも傷めたのか下りで道を譲られた。この先周囲の人達と、抜いたり抜かれたり。Trailsearchによるといくらか順位を上げているから、このレベルの中では頑張っている方だと思う。ロードとトレイルが交互に現れるが、ロードは走った。鬼門ツツジ山もダレずに一気に登った。刈場坂峠まで来れば、朝来た道を戻るので、なんとなく気持ちがラクだ。大野峠に戻り、グライダー場に向けて変な階段。定石通り左の巻き道を辿って、正直に正面突破していた先行者に迫ったが、グライダー場からはどんどん離された。

丸山の登りも、今回は延長されていたような気がする。まあそんな訳ないのだが、えらく苦労して登り切った。これでもう、組織的な登りはないはずだ。

結局3時間かかって辿り着いたA9県民の森は、しっかりした造りで居心地が良かった。おでんを頂き、温かいカフェオレも沁みた。もう5時だが暗かった。

 

5時に閉まる、A7長念寺の関門に奥さんは間に合わなかった。日ごろ足や腰が痛んで、出走するか直前まで迷っていたのが、関門アウトまで頑張るなんて、きっと、楽しかったのだろう。お疲れさま。頑張ったね。

 

ゴールの羊山公園まで12km。2時間で行くべきだが、奥さんには8時着とラインを打った。エイドに、1200m下って250m登ると書いてあった。金昌寺に下るコースではエイドからしばらく登るが、今回のコース断面図では一気にくだりだ。チマチマした登りを足し合わせると250mになるのかな。

エイドを出てグリーンラインから階段を登る。さらに少しだけ登って下りに入ると実に良い道だ。軽快に走って下れる。この感じなら2時間で行けるかなと思っていたら、割とすぐに車道に出た。昨日の朝に通ったあたりだ。車道を少し行き、走れるトレイルを過ぎて、観光農園の所の車道に出た。まだ10km近くあるだろう。苦手なロードを1時間以上走るとなると、多分10人には抜かれるな。

しかし、周囲に選手はおらず、100kmの看板を過ぎても後続はなかった。あと5km。その先で、少しトレイルに入り再び車道に出たあたりで、背後に2人現れた。もう半分歩きだったが、彼らも歩いていたので抜かれない。しばらくタテ1列で進んだが、後続の1人が前に出た。綺麗な女性だった。

おねえさんは走ったり、歩いたりしながら離れていく。オレも頑張んなきゃな、と思い直し、走り出したらトレイルの登りになり再び歩き。

歩きながらスマホを引っ張り出し、ヤマレコマップを見るとあと2kmなかった。もう、出し切るしかないなとペースを上げた。走れる傾斜ではないので、精一杯の歩きで頑張る。沢筋からガレた斜面に変わり、登りは続いた。歩きならさほど遅くはないと思うが、おねえさんのお尻、いや、背中は見えなかった。スゲーな、ねえさん。

するといきなり道が山の中に消えた。え?

そういやしばらくテープ見てないな。ヤマレコマップを見ると見事にロストしている。

やや気が抜けてしまい、来た道を歩いて下った。500mほどムダに登ってしまった。まったくもう。

すると、前から2人やってくる。そうだよな、ココは間違うよな。大人数が通った跡があったもん。

この先すぐに正規ルートに復帰し、昨日の朝に渋滞でイライラしながら歩いたトレイルを楽しく走った。あと1kmの看板を過ぎ、最後はキロ5分半のペースでゴール。結局ロストで10人に抜かれた。そういう運命だったのね。