まったく自信がないのだが、エントリーしたからには全力で臨みたい。とはいえ、このところ富士山競走に向けてのトレーニングしかしてないし、今年は彩の国に出なかったから、長い距離を走る(歩く)山行にも行っていない。
もう一月くらいしか残っていないが、悪あがき的に夜間行動を含む山行を計画した。本当は、長沢背稜が好きなので、石尾根を登って長沢背稜を回るとか、その逆とかやりたかった。しかし、奥多摩駅周辺の駐車場事情がよくわからなかったし、電車で行くのも、所沢からだと乗り換えが多く、運賃の割には時間がかかるのだ。奥多摩へは車で行った方がいい。
奥武蔵はどうかと言うと、彩の国のルートを参考にした、長いルートはいくらでも作れるのだが、いかんせん標高が低く、この猛暑下ではこのエリアは無理と判断した。標高1000m級の山を歩ける奥多摩の方がいい。
夜間行動を含むルートとなると、車は一晩留め置くことになる。有料駐車場だと2日分になってしまう。となると、無料駐車場から周回できるところに絞られた。
自宅から一番近い、山の無料駐車場は青梅高水だ(正しくは青梅鉄道公園駐車場)。ここを起点として、青梅高水コースの林道終点箇所から、青梅街道を渡って日の出山に登り、ハセツネコースを大ダワ手前まで逆走して奥多摩駅に下り、川苔山に登り返して、長沢背稜から棒の折、高水山を経て青梅高水駐車場に戻るというプランを思いついた。約55㎞、累積標高4500mとなるらしい。
8月11日は、奥さんが夏フェスで外出だ。終演までいるので帰宅は遅くなる。こういう日は山に行きやすい。
前々日に、おずおずと「フェスの日に、前の晩から山に行きたいんだけど?」と切り出すと、前から6列目という好位置を確保して上機嫌な奥さんは快諾してくれた。そのかわり、出発日の食事は、朝昼晩ともちゃんと料理し、主夫としての務めは果たした。
青梅高水の駐車場は、夜間だというのに10台ほど既に駐車されていた。同じことを企む人がいるのかな。家でテーピングまで済ませていたのですぐに出発したが、いきなり便意がもよおしてきて、急いでひとまず永山公園グランドのトイレに駆け込む。昼に、ニンニクたっぷりの焼そばを作ったが、それが原因だろうか?この日は山行中腸活が止まらず、日の出山の登りと、鋸山の下りで2回、大キジを放出した。どちらも健康的な便だったので体は問題ないのだが、同じことがレース本番で起きるとマズい。いかに出場者数を絞った信越五岳とはいえ、そう簡単に道端大キジは出来まい。今回の教訓その①は「前日の食事のニンニクは控えめにする」かな?
用便を済ませ出発した。ハセツネはさんざん出ているので、夜間走行は普通の人より経験豊富だが、スタートが夜のレースは信越マイルが初めて。最初から、ランプは頭に着けて走り出す。ヘッドランプのゴムバンドが劣化していて、気持ちよく頭にくっついてくれない。ここを直す必要がある。
林道状を終点まで走り、左に折れて青梅街道まで下る。この下り道のヤブがひどかった。ほんの数百mだが、あまり整備されていない。地元のひとのお散歩コースだと思うのだが、どうだろう。
ヤマレコマップを見つつ、日の出山に至る尾根に取り付く。こちらにも金毘羅神社がある。琴平神社と金毘羅神社は同じルーツなのだろうかと思いながら登っていると、オンにしているヤマレコマップのスピーチ機能が沈黙している。ポッケを触るとあるはずのスマホがない。なんてこと。
スマホ紛失敗退かと、慌てて引き返すと、先ほど小用を足したところ(液体には触れていない、念のため)に鎮座していた。よかった。ランニングの時も、山登りでも、仕事でも、いつもスマホは左右どちらかのポケットに入れていて、車の運転中に転げ出ることはあっても、歩行中など行動中に落としたことはなかった。これ以降は、トレランザックのファスナーのある胸ポケに入れた。いろいろ気づきのある、実りある山行だ。
日の出山にはいきなり飛び出すコースになっていて、夜景も楽しめて気分のいい山頂だった。ここからは、勝手知ったるハセツネコースだ。
暑いので水の消費が激しく、御嶽神社で汲むつもりでいた。手水場の水はチョロチョロしか出ておらず、汲むのに時間がかかる。階段裏手のトイレは、普通の水道なのでしっかり汲めた。その後、綾滝の水場でも世界一美味しい水をたらふく飲んだので、前半戦は水には困らなかった。
大岳山で、ヘッドランプの灯りがかなり暗くなっていた。電池を交換しようと準備したが、使っているBDのSTORMというヘッドランプは、電池蓋を開けるのにドライバーかコインが必要だった。リュックの奥にしまってある財布から1円玉を取り出し、何とか交換した。その1円玉は、予備バッテリーの袋に入れたままにした。
大岳山をほぼ予定通り通過し、大ダワの手前で鋸山への道に入る。この尾根を歩くのは初めて。鋸山の名にふさわしく、険しい尾根だった。明け方でまだ暗く、夜露で濡れた岩は滑りやすかった。軽快なトレランにはふさわしくない尾根で、今度トレラン目的でここに来ることはないだろう。予定より50分遅れが生じた。
下りきると氷川キャンプ場に出た。時刻は5時半ごろ。ここの駐車場が、町営氷川駐車場である。以前は、早朝に来た場合、駐車場代700円を入れる封筒が置いてあって、それに700円入れてポストに投函するというシステムがあったが、そのポストに目張りする形で、「受け付けは8時から」と張り紙してあった。てことは、この駐車場は使えないね。8時じゃね。
川苔山に向かう道すがら、駅前のタイムス駐車場を見たら、平日は880だそうだ。ならばこっちでもいいか。休日は1300円だそうなので、平日限定で。
林道を約1.5㎞進んだ先に、登山道入口があった。そこから本仁田山まで、無茶苦茶急な登りが続く。私史上、最も急な登りだったかもしれないというくらい急だった。本仁田山の先、川苔山への道もかなり急だった。山頂直下で沢を渡る箇所があるが、今回はそこで水を補給することが出来た。おかげで、下山まで何とか水を涸らさずに済んだ。
さて、暑さと、夜間登山の影響で調子はすこぶる悪かった。今回は信越マイル向けの練習だから、山道は出来るだけ走らねばならない。ハセツネコースにいる間までは、それなりに走っていた。走り続けるには、ちょっとリュックが重いなと感じていて、これも本番までに工夫するポイントとなった。これが、鋸山の下りと、大仁田山、川苔山の急登を経て、まったく走れなくなっていた。下りは何とか走るが、登りはどんなに緩くても歩いた。こんなことでは、信越マイルの完走などとても叶わない。
長沢背稜の日向沢ノ峰を過ぎて、棒の折に至る道に入った。ここは以前は通る人も少なく、ヤブの多い道だったが。おっくんがレースをやったりしていたので、人が通るようになり、歩きやすくなった。11時過ぎに棒の折に到着。ここまで来れば、未整備の道や歩きにくい岩場もない。あとは初心者向けのハイキングコースなので楽勝!と思って歩いていると、なかなか岩茸石山にたどり着かない。登山道は整備されているが細かいアップダウンが続いて時間がかかった。脚も終わってきているのだ。
高水山を過ぎ、榎峠にヤマレコマップの指示通り降り立った。残りの食料は「ガッツギア」が2袋。それを1本飲み干して雷電山への登りに取り付く。ヘロヘロだが途中立ち止まることなく雷電山に着いた。
後は歩いたり走ったりして、夕べお世話になったトイレのある、永山公園に着いた。水道で顔を洗い、頭から水を被り、ようやく一息付けた。
標高が下がってきてからずっと滝汗で、熱中症も少し疑っていたが、公園の水道で顔を洗うとスッキリしてきた。行動中は、河辺の「梅の湯」に行って水風呂に飛び込まなくちゃと思い続けていたが、土日料金1100円は高いし、家の風呂でお風呂アイスをしよう。
今回の山行で:
①前日の食事に気をつける
②ヘッドランプのバンド交換と調整と固定
③ヘッドランプの電池交換ようにコインを持つ
④荷物が多すぎると走れない
などなどいろいろ教訓があったが、問題はたかだか50㎞の距離でヘロヘロになった事だと思う。FTRの100㎞に出た時、70㎞を過ぎたグリーラインのあたりでヘロヘロになり、ああ俺はハセツネ育ちだから70㎞が限界なんだなと思ったものだが、3回挑戦して弾かれた彩の国は、だんだんと到達距離が短くなっていて、最後はノースだけで終わってしまった。長距離はダメなのか?
信越マイルの完走率は40%を切るそうだが、完走率40%の富士登山競走を完走して、これは望みがあるかもと思ったのだが、そういう問題ではないようだ。
でも、好きなんですよ、長いやつ。
比叡山とか、神流とか50㎞くらいのレースに出たこともあるけど、夜中に走るハセツネの楽しさとは比べ物にならない。途中で終わってしまった彩の国も、それはそれで楽しかった。
どこまで、行けるかな。せめて、笹ヶ峰は越えたいな。