タルキートナでバドワイザーを

群発頭痛により断酒した山好きオジさんが、定年後にアラスカのデナリを登って、祝杯としてアルコールを解禁することを目指す日記。

デイジーチェーン

登山用のギアを、仕事用に転用するのには抵抗があった。ペツルのアッセンダーは金属製で頑丈だし、他に使える物がないので仕方なかった。それでもカラビナ類は、もう山では使わない、重いボナイティのビナだけを木登りに使っている。メインロープも、山では使えない古いやつだ。

 

高さ20mの株立のケヤキが、バルコニー近くまで枝が伸びてきていて、枝が強風で当たりそうで不安だと、住人さんから苦情があったそうだ。株立なので、さほど太くない、枝の少ない株が、何本も出ている樹形で、そのうちの1、2本が確かにバルコニー方面に伸びている。

殆ど枝がない、中途半端な太さの幹が斜めに伸びているわけだから、普通に登って剪定というわけにはいかない。どの株も、同じような太さだから、どこか太い幹の枝分かれにスローラインを投げてロープをかけるというのも難しい。斜めの株を登っていくしかない。

上下に2か所、スリングを幹(株)にタイオフして、上側をハーネスに付け、下側にループをつけて足掛りにする。これで、タイオフしたスリングを上にずらしながら登れば、登れるのではないかと考えた。タイオフするスリングを、輪になった普通のスリングではなく、デイジーチェーンを使えば、木と体の距離を調整出出来るだろう。ヨセミテに行くときに買ったデイジーチェーンが、ほとんど使用していない状態で、道具箱の中で眠っていた。

デイジーチェーンを仕事用に転用するのには抵抗があった。まだほとんど新品に見える。ヨセミテに持って行ったが、かの地で登ったマルチピッチルートは、After SixとRoyal Archだけだ。2回しか使っていないデイジーチェーンを、仕事に使ってしまっては、もう岩登りはしないと言っているようなものだ?

しかし、朝に家を出るときには、仕事用道具箱にデイジーチェーンを入れていた。もう20年は経ってるし、普通に考えて、岩場では使わないレベルの古さだろう。

 

さて、デイジーチェーンは1本しかないので、ボディ側は普通のスリングにして、足で踏む方にデイジーチェーンを使ってみた。踏みきる高さを調整できるから、これは具合が良い。ボディ側もデイジーチェーンがあればもっとやりやすいだろう。後半は逆に使ってみたが、木とボディの距離を調整できるのは確かに良い。デイジーチェーンは実に有効なツリークライミング用具になる。

しかし、使い始めて数ムーブで、白かったデイジーチェーンは、ケヤキと同じ色のねずみ色に変わり、繊維は激しく毛羽立ってしまった。間違っても山には持って行けない外観になった。ごめんよ、そしてありがとう、デイジーチェーン。

作業前のケヤキ

作業後のケヤキ

ツリークライマーの作業単価を5万円として、65,000円で請け負った(会社が)仕事だが、朝からやって15時で完了した。普通なら助手を含めて3人いてもいい仕事だと思う。10万でもよかったかもしれない。以前、木の植え替えで、金額を比較して別業者に発注したここの所長が、御社はお安いので別物件もお願いしたいと言っていたそうだ。

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会社は、私の日当1万円プラス数千円の処分費だからまあ儲かっただろう。