タルキートナでバドワイザーを

群発頭痛により断酒した山好きオジさんが、定年後にアラスカのデナリを登って、祝杯としてアルコールを解禁することを目指す日記。

テデスキ・トラックス・バンド

テデスキ・トラックス・バンドの日本公演を見に行った。

会場は東京ドームシティホール。黒基調の座席やステージで、スタイリッシュなホールだった。3階バルコニー席だったが、十分ステージは近かった。

観客は中高年の男女。60歳のわたくしあたりが、中間層なのではないかという感じだった。バンドTシャツを着ている人は1名ほど見かけた。オトナのコンサートだった。

場内に入ると、ドリンク代500円を徴収され、コインを渡された。最近、ハセツネ以来なのだが、頻尿気味で、この日は朝からカフェインを断っていた。開演30分間にトイレに行ったが、ここで水分を取るのは控えた。終演後でも交換できるだろう。

席は3階バルコニーの2列目。一番通路側だったので、いざというときは出やすい位置だった。音楽にノッてきたら、通路に立って体を揺らすことも出来そうだ。

しかし、お隣の紳士が大きすぎた。たぶん体重は私の倍はあるだろう。まっすぐに座っても、私の座席の30%は侵略してきている。端っこで本当に良かった。半身は通路側に出すように座り、開演を待った。そういえば、痛い右膝も伸ばせるので、その面でもこの席は良かった。

テデスキ・トラックス・バンドは以前の来日の際にinterFMでバラカンさんがかけたので知った。interFMで取り上げられた楽曲やアーチストには、騙されて大したことないCDを買わされた事もあるが、このバンドは違った。カントリーロックというのか、サザンロックな感じもあるし、ブルースかって言うとちょっと違う気もするが、いつまでも聴いていられる音楽だと感じた。

今回四年ぶりの来日だという。確か前回は行こうかどうしようか迷っているうちにチケットが売り切れた。そう、宮本浩次エレカシと違って、何故か即完しないのだ。迷った理由はもちろん高額なチケット代だ。外タレなのでチケットは高い(このバンドの場合安いとも言えるが)。引退して収入が少ないので、出来るだけ出費は抑えるべきではあるが、最近は、蓄えがなくなったら死んじゃえばいいと考えるようになったので、12,000円のチケット代を払って参戦を決めた。

 

場内が暗転して、メンバーがゾロゾロ出てきた。12人もいる。左にホーンが3名、ドラムはツインドラムだ。右の3人はコーラスかな。前列左にキーボード。右にベース。正面のマイクにスーザンさんが付いて、デレクは少し下がったアンプの前に斜め横を向いて立っている。

スーザンさんはたぶん皮の、キャミソールタイプのワンピを着ている。テンガロンを被ったらもうカントリーという感じ。グリーンのテレキャスが良く合ってカッコいい。

力強いヴォーカルでライブが始まった。ちなみに曲はほとんど知らない。

スーザンさんがずっと歌うのかと思ったら、途中からキーボードの人が歌い出す。どの曲もデレクのギターソロが入って客が盛り上がる。何曲目かでホーンセクションのソロが始まると、スーザンさんは舞台袖に引っ込んだ。こうして、メンバーが時々下がって休憩しているようだった。

MCはほとんど入らない。スーザンさんは必要最低限のことしか言わない。多分メンバー紹介をしているようだが、早口でよくわからない。日本人は英語が苦手だから、あまり喋ってもしょうがないと思っているのかもしれない。そういえば、来日公演を重ねてきた、KISSのポールスタンレーや、ブライアンアダムスは、日本人の英語レベルに合わせた、わかりやすいMCをやってくれた。この先何回か来日公演をしてくれれば、スーザンさんも打ち解けてくれるのかもしれない。

12人のメンバーは、それぞれ手練だ。コーラスのうち、背の高い黒人の男性が前に出てきてソロパートを歌う。ホーンはサックスをメインに、時々ソロを披露する。キーボードも弾いて、歌う。

ライブ中盤で、コーラスの女性が見事な美声でソロを聴かせる。もうひとりの男性も終盤でソロを担当した。変わった発声の、印象深いソロだった。

デレクは常に斜め横に立って、淡々と弾く。スーザンさんも時折りかっこいいソロを弾く。ツインドラムのソロもかっこいい。

12人のうち、ソロを披露しなかったのはベーシストだけだった。トロンボーンの女性もやらなかったかな。

アンコールになって、ようやく観客も立ち上がって体を揺らす。最後の曲はアップテンポの盛り上がる曲。満場の拍手のなかコンサートは終演。客電が点いて席のすぐ後ろのドアから出ると、もうそこは外堀通りで、ワンドリンクのコインは無駄になった。

 

個人的に最近のライブの話題といえば、エレカシ野音だった。私は配信の映像で見た。今回はサポートギターを呼ばず、宮本浩次が歌って弾いた。相変わらず全力で、映像だけでも怒涛の熱気のようなものを感じた。スーザンさんは、汗ひとつかかずに舞台を降りて行ったようだった。今日はオトナのコンサートだからな、と思ったが、いや違う、エレカシの四人の方が歳上ではないか。さらに言えば、最近聴いているバンドでは、テデスキ・トラックス・バンドが最年少だったりする。

どちらも悪くないが、やっぱりライブは熱気の渦に飲み込まれたい。まあ、演奏のレベルは、比べちゃいけなんだろうが。