タルキートナでバドワイザーを

群発頭痛により断酒した山好きオジさんが、定年後にアラスカのデナリを登って、祝杯としてアルコールを解禁することを目指す日記。

筑波山

アウトドア用品を売る店で働いている奥さん。お客さんで「筑波山に登るんですけど」と言って、アドバイスを求めてくる人が多いそうだ。

どちらかと言えば、エキスパート向けではないお店で、スタッフの中でも、奥さんの山歴は素晴らしい。冬の西穂高岳から奥穂高岳への縦走、同じく冬の鹿島槍東尾根、槍ヶ岳にも正月に登っているし、5月の北鎌尾根も登っている。沢登りでも、黒部上の廊下を遡行しているし、朝日連峰の岩井又沢なども完登している。しかし、筑波山には行ったことがないので、どんな靴が良いかお勧めできないのだそうだ。

というわけで、筑波山に行くことになった。

筑波山は久しぶりだ。小美玉に会社の畑があった頃だから、10年振りくらいだろうか。設計会社の先生が、土曜日の材検が好きで、材検の後、午後に筑波山に来ることが多かった。市営駐車場に車を停めて、つつじが丘経由で山頂まで行き、まん中の白雲橋コースで降りるのがいつものパターンだった。

今回も、つつじが丘を通る、迎場コースから登った。このコースは人が少なく、のんびりペースで登って行った。白雲橋ルートと合流する場所に、弁慶小屋なる建物が出来ていた。きれいな小屋で、たくさんの人が休んでいた。ここから、少し人が多くなった。

女体山の少し手前で、にぎやかな女子高生チームの後ろに着くことになった。元気で足は速いので、ついて行く分にはストレスはないのだが、下ってくる人の行列に道を譲ってしまい、大変待たされた。おまけに、女体山登頂は順番待ちの列が出来ていて、奥さんのイライラはピークに達してしまった。

女体山に着いた。昔はない、木の柵が出来ていて、岩の突端には立てなくなっていた。

写真も撮らずに山頂を離れ、御幸ヶ原に降りる。昼食は、コンロでお湯を沸かしてカップラーメンの予定だったが、筑波山は火気厳禁。コンロが使えるのは、御幸ヶ原のバーナーエリアのみとのことだった。その「バーナーエリア」は広場の端、ロープで囲われた一角に設定されていた。喫煙可能コーナーのようだった。

こんなところでは嫌だわと、昼食は中止になった。男体山に立ち寄って下山しようと、あまり期待もせずに、男体山へ向かった。

もう曇ってしまっていたが、良い眺めだった。奥さんの機嫌も少し回復した。

下山は、ケーブルカーと並行して走る、御幸ヶ原ルートで降りた。ここを歩くのは初めてで、他のルートのような、奇岩の名物はないが、ストレートな急登が続き、トレーニングにはこちらの方がいいなと思っていたら、UTMFの大会Tシャツを着たおじさんがパワーウォークで上がってきた。このおじさんはその後駆け下って行き、下の方まで来ると、再び駆け上がってきた。さすがUTMF。

最後は筑波神社を見学して駐車場に戻った。神社は立派で、歴史のあるものらしかった。途中の道で、地元の産物を並べて売っているおじさんがいたが、美味しそうな唐辛子などあるのに、売れ行きは芳しくないようだった。立派な門の裏で、ガマの油口上の実演会会場が設けられていて、演者の方も待機していたが、客は皆無だった。とどめは、境内横の売店の人が、観光客の若い女性に、「生きているガマがいますよ」と声をかけて無視されていた。なにか、観光ニーズとのミスマッチがあるようだった。

筑波山は良い山だ。東京の高尾山にもひけはとらないだろう。高尾山は、最近どんどんオシャレになっている。筑波山がオシャレになる必要はないが、シャッターを閉ざして廃墟になっている売店など見るのは寂しいかぎりだ。