タルキートナでバドワイザーを

群発頭痛により断酒した山好きオジさんが、定年後にアラスカのデナリを登って、祝杯としてアルコールを解禁することを目指す日記。

目標はデナリ

中学時代から登山を趣味として続けていて、その時々で目標の山はあったけれど、もうとうに50歳を過ぎ、やり残してきたことを考えると、いくつか、死ぬまでにやっておきたい登山があることに気づいた。10年ほど前から3つに絞られており、体力的にはどれも実行不可能な感じになってきていた。
その目標のひとつにデナリ登頂というのがあった。アメリカ大陸最高峰、旧名マッキンリーである。植村直己や、山田昇が消息を絶ったことで知られる難関で、セブンサミッツの中ではエベレストとデナリのみ高度な技術を要すると言われている。
知り合いでは何人かが登頂に成功していて、中には自分より実力が下と思われる人もいた。ただし私は語学力が低く、国内においてもコミュニケーション能力が低く、遠征隊を組織してアラスカまで行くというのは登山以上に難しいことだった。
そんな中、日本のツアー会社でデナリへの公募登山を行っていることを知ったのは2年ほど前である。妻が参加する、ヨーロッパでのトレイルレースの旅行手配をアドベンチャーガイズ(AG)がしていて、その資料をもらいに、お使いに行った際、カウンターにあった資料を目にしたのが始まりである。
AGとしてはトレランレースなど全然アドベンチャーじゃないのか、対応した方は非常にやる気なさげにトレランツアーの資料を出してきた。帰り際に、デナリとエベレストの公募隊の資料をちらりと手に取る私に、ご必要でしたらコピーを取ってまいりますと、いきなり目の色が変わったような対応を見せてくれた。
資料によるとエベレストは700万円、デナリは150万円で挑戦できるとの事だ。
諦めかけていた夢が、いきなり目の前に現実として現れたような気がした。もちろんすぐには行けない。今の自分では、遠征に必要な休暇を取る事は不可能だ。行くなら定年後となるだろう。それまで、今の体力を維持していくことが必須だ。
また、公募隊の参加要件に「5000mの体験」というのがある。今のところ、最高標高到達点はキナバル山の4000mだ。デナリの前に、キリマンジャロなり、南米の何処かなりの5000m峰を登っておく必要があるのかもしれない。今の仕事の忙しいのは夏場なので、アフリカや南米なら冬に休みを取れるかもしれない。体力のある内にデナリに挑戦するために、5000m峰は定年退職前に登っておきたいものである。
仕事大嫌い人間なので、定年までの3年間が非常に憂鬱なのだが、デナリへの目標をひとつづつクリアしていくのなら、3年間は短く、充実したものになるに違いない。