タルキートナでバドワイザーを

群発頭痛により断酒した山好きオジさんが、定年後にアラスカのデナリを登って、祝杯としてアルコールを解禁することを目指す日記。

巻機山に登る

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先週のダメダメスキーを踏まえて、今週はどうするか考えた。谷川岳は田尻沢がクローズとなり、天神平は使えない。練習するなら根子岳か? いや、それはつまらないし、長い板のシールがない。
いっそ芝倉沢で燃え尽きるか? とも思ったが、前日雪が降ってしまった。芝倉沢では以前雪崩の至近弾を食らっているので降雪後は却下だ。
比較的容易に、長く滑れるところ、ということで、巻機山の清水からの往復で決まった。
山頂まで行くのは二回目だ。前回はショートスキーで山頂から米子沢の源頭にエントリーして、ニセ巻機山に登り返し、井戸尾根沿いに下った。登りの時点で、ニセ巻機山から井戸の壁までの広大な尾根が魅力的だったのでこのコースとしたが、井戸の壁がツリーホールだらけで危険な程だったのが印象として残っていた。
天候は曇り、晴れの予報。登り出しから青空がのぞいていて、素晴らしい日になりそうだった。
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林道から雪の山道に入り、はっきりしたトレースを辿る。あまり道らしくないところを進んでいるなと思った。このあと天候が悪化してトレースが消えたら、同ルート復帰は無理だなと思った。そうこうするうち、藪の急斜面が出てきた。夏道を外していることがはっきりした。前方でスキーを背負い、スノーシューを履いた二人組が難儀していたので、トレースを外れて藪の薄いところをキックステップで進んだ。少し先で行き詰まり、難所を越えた二人組と合流して尾根に出た。
そこからはトレースもしっかりあり、技術的にも容易な体力勝負の登りになった。高度を上げるとクラストしている所も出てきたが、アイゼンを付ける程ではない。
顕著なピークに向けて高度を上げていく。上部にかかっていた雲も晴れてきて、周囲に絶景が広がってきた。その辺りで思い出した。これはニセ巻機山だ。この先の下降を歩くか、スキーで降りるか考えどころなのだ。前回は歩いたと思う。今回も歩いた。まだホンモノ巻機山は遠い。時計回りに大きく迂回するように稜線は続いている。
山頂が近づいてきた。振り返ると後続パーティーがニセ巻機山からスキーで降りてくるのが見える。ゆっくりした滑りだったが、今にして思えばシールを付けたまま滑っていたのだろう。本来の山スキーヤーの姿だ。
山頂に着いた。先行していた単独行者と言葉を交わし、絶景を堪能する。さて、下降だ。
前述の通り、前回は米子沢源頭に真っ直ぐ滑り降りた。不安も何もなく突っ込んだと思う。今回はビビりが入っていた。ターンを繰り返しながら斜面を滑り降りていくイメージが沸かなかった。ターンてどうやるの?っていう感じだった。
米子沢側の斜面を斜滑降でコルを目指した。ターン出来ないので、シール登高してくる後続の横を通るので恥ずかしかった。コル手前でコケたが、見られる事なくコルに到着。ニセ巻機山に登り返す。見渡すと、樹氷とボリュームのある巻機山山頂が、素晴らしい景観を披露している。
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ニセ巻機山からは広大な斜面の尾根を下る。滑り出しで登ってくるボーダーのお姉さんに声をかけられたが、嬉しい事にその後はギヤラリー無しだった。思い切り、好きなように下手なターンを繰り返した。
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井戸の壁の上まで来て、樹林帯に入る。前回はツリーホールだらけで、何回か穴に落ち、結構危なかった。今回は穴はほぼ無く、ブッシュには難儀したが、沢筋まで下降できた。途中前ももが痙攣するほど負荷をかけたようで充実した山行となった。
今回の滑りを分析すると、せっかく靴を揃えたのに、滑り方はプラ山靴の時と変わっていなかった。スキーの基本を知らないから、無理くりスキーを回してターンする。長い板だとそれが出来ない。スキーブーツを履いても、ターンの仕方を知らないので、同じことになってしまうのだ。
長い板が欲しかったのは、山仲間にショートスキーは下山手段に過ぎないと言われた事が大きかった。それ以外にも、ショートスキーでは浮力が足りず、緩斜面では滑らない事や、登りもラッセルになってしまうという理由がある。今回巻機山に来てみて、下山手段としてスキーがあるということも、それなりに素晴らしい事だと思った。シール登高しないのなら、登りは山靴の方が断然速いし、パウダーでなければショートスキーも滑りではひけを取らない。雪山の中を高速で移動出来ると言うのは、すごく意味のあることだと思う。
しかし上達はしたい。大概の斜面を不安無く降りられれば、それは強みになるのは間違いない。

NOTE
巻機山
2020.3.15
清水 7:40
5合目 9:40
ニセ巻機山 11:20
巻機山 12:00
ニセ巻機山 12:40
6合目 13:10
清水:14:20