タルキートナでバドワイザーを

群発頭痛により断酒した山好きオジさんが、定年後にアラスカのデナリを登って、祝杯としてアルコールを解禁することを目指す日記。

なかなかの週末だったが

至仏山に登った。戸倉からの日帰りはなかなかの健脚コースだったようで、山頂が踏めるかヒヤヒヤした。しかし、崩れる様子のない無風快晴の青空と、途中から現れた見事なトレースに助けられて15時前に山頂までたどり着いた。

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山頂から

ここから、ガイド本では、初心者でも楽しめる大斜面、と書かれている、素晴らしい大斜面である。

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見上げているうちは、パウダーを蹴散らしてターンするイメージしか無かった

山頂デ憩う、スノーモービルの人達に「お先に!」と爽やかに挨拶して斜面に飛び出したが、あれ?

モナカ雪にエッジを取られて全くスキーが操れない。

ターンを試みるがあっさり転倒。

え?俺ってそんなに下手なの?

 モナカ雪は難しいらしいが、全く歯が立たないとは情けない。というより驚いた。そんなに急傾斜でもないのに。

とにかく高度を下げなくては。我慢強く斜滑降とキックターンを繰り返して高度を下げる。先人が刻んだ、見事なシュプールを何度も横切る。その度に情けなさが増幅していく気がした。

山ノ鼻に向かうトレースに、谷底で合流して一安心。鳩待峠を越えて林道ボブスレーで下山した。

 

 

本来、苦労して山頂を踏んだのだから、大満足の週末となるはずだった。しかし、先週野沢温泉でスクールにまで入って練習したのに全然上達していない事に落胆する結果となってしまった。思えばこの週末、土曜日もグダグダだった。金曜の晩に、彩の国マイルに無事エントリーして、頑張んなきゃと思って武蔵小杉からのキタクランを実施した。何故か体が重く、ペースの上がらない走りだったが、あと10km地点までなんとかたどり着いた。そこのコンビニで、カップラーメン補給をして、あと3kmのコンビニで再び補給をしようとしたら、財布が無かった。

しまった。前のコンビニに忘れたんだ! と、スマホで調べて電話してみると届いているとの事。

日本人って素晴らしいな。

いつか財布を拾ったら絶対にネコババはやめよう。

7kmを戻って財布を回収。このため、武蔵小杉からのキタクランは通常40kmだが、この日は46kmとなった。いっぱい走れてラッキーなんて事では決して無い。日本人の良心に救われたのだという事を肝に銘じて再発防止に努めなくてはならない。

とは言え、早春ランニングは楽しかった。

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多摩川土手

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野川沿いを行く

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小金井公園の大漁桜

 

46km走った翌日に、山登りをする人は少ないかもしれない。でも、先週野沢温泉のスクールで教わり、それをもとに練習した感触が、十分残っている状態で実戦に行きたかった。奥さんはお友達とハイキングなので一人だ。多少は無理な事が出来る。

芝倉沢かな?でもこの靴で西黒尾根って登れたっけ?巻機山は?ちょっと遠いかな。有名な西ゼンにデビューしてみるか?んー自信がないな。

いろいろ考えて体力勝負の至仏山日帰りに決めた。

コロナ緊急事態直前の4月初旬に来て、除雪された車道を鳩待峠まで上がって、1860mのピークで敗退した。思いの外鳩待峠が遠かった。

 

 

今回はゲートの先から雪はたっぷりあった。シールを着けて登って行く。奈津木橋まで2時間で着いた。橋の手前にトレースがありそれを追う。ちょうど送電線の下を進むイメージだ。沢筋を行くものと思っていたが、左岸の斜面を斜上する感じだ。すると、車道が大きくヘアピンカーブを描く場所に出た。見事なトレースだ。その後は車道をたどり、鳩待峠には3時間20分で着いた。

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けっこう遠い至仏山

前回上州武尊山に来たときもそうだったが、シールに雪が付いてダンゴ状態になるのには閉口した。板をわざわざ外して掃除する訳には行かない。掃除してもすぐにまたダンゴになってしまうからだ。足を振ったり、反対の板で擦ったりしながら進んだ。上州武尊山の後、すぐに対応しておくべきだった。

鳩待峠から上は期待していたスキートラックは無かった。ラッセル大好きだが、今日は時間が押している。鳩待峠に16時には戻りたい。日が伸びたから17時でも良いかな?それにしても山頂は15時がタイムリミットだろう。快晴だし一人だし、是非とも山頂は踏みたい。

ツボ足のトレースもすぐに引き返したらしく消えた。それほど潜る訳ではないが、シールにダンゴになる雪が、足かせになってペースが上がらない。奈津木橋から鳩待峠まで1時間半かかった事を考えると、今日の山頂は厳しく感じる。

地形はどこも緩やかだ。おまけに尾根は右に大きくカーブしている。尾根上を行くより、トラバース、もしくは谷に滑り降りて至仏山を直登したほうが早いのでは? と思い始めた。右手の斜面は日陰になるので、シール団子も改善されるかもしれない。

いずれにせよ、尾根通しでは山頂を踏めない公算が高いので、ダメ元でトラバースを開始した。滑り降りて登り返すのが積極的トラバースとすれば、標高を下げないように進む消極的トラバースを選択した。

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トラバース中に振り返る

ほぼ1時間で最初のピークである1860を巻き切った。もうすぐ14時、微妙な時間だ。すると稜線付近からスノーモービルのエンジン音が響いてきた。鳩待峠にいた、スノーモービル軍団だ。鳩待峠から上は、君達の領域ではないよ。

稜線を見切った事が完全に正解だった。あいつらと同行ではたまったものではない。

1860の先の、湿原のあるピークからは大きなアップダウンはないし、小至仏山の山腹には巻いているトレースも見えているので、尾根に向けて高度を上げ始めた。するとキレイなスキートラックに出くわした。鳩待峠には無かったので昨晩稜線に泊まった人達のものかもしれない。

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大斜面に入ってきた

このトレースは見事なルートファインディングで、徐々に高度を上げながら至仏山西面の大斜面に向かっている。よし、これを追えば15時前に山頂に立てる。

 

 

そうして頑張って山頂を踏み、グダグダの滑りとなったという結末である。

 

しばらくはスノーモービル軍団から丸見えだったと思う。ああ恥ずかしい。

 

大斜面には3本の見事なシュプールがあった。どうやったらあんな事が出来るのだろうか。

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山頂から

なかなかの週末。ダメージはけっこうある。両足のハムがパンパン。全然屈めない。右足のアキレス腱付近が痛い。時々脱力してしまうのが気がかり。めまいは治っていない。治っていないが少し慣れた。至仏山からの下降で、谷底に降りる直前に大転倒した時は流石にめまいが起きた。夜、寝る前のやつは相変わらず起きる。お医者さんも、疲労が溜まると誰でも?めまいが起きると言っていた。疲労しているのは間違いない。確かに。